…で、どうなったら私はコイツの背中で寝てるんだろう?
「ハックシュン!」
長秀がギロリと睨みつける。
「起きたんなら歩け」
「起きてないです…」
「まーったく。覚えてねぇって顔だな」
「……」
「お前が酔っぱらったあげく店先で大泣きしだして困った清正が俺を呼んだの」
「………すみません」
そういえば、そんな気がする。
沈黙が生まれる。
長秀の髪から微かに香るシャンプーの香り。
沈黙を破ったのは長秀だった。
「どうせ泣いたのも、アイツのことだろ?誕生日なんかに飲むんじゃねぇよ」
「……うん、ごめん…」
しおらしく謝る綾子に驚いた長秀が、立ち止まる。
「まぁ、こんだけ待ってんだ。……現れるよ」
「そうかな…」
「現れるまで、俺もつきあってやるからよ…」
二人してぽっかり浮かんだ月を見上げる。
そうだね。こんな広い世界だもの。
簡単にみつからないはず。
でもきっと…
きっと出会う時はこんな月夜の晩に…
綾子はいつのまにか、長秀の背中でまた眠りにつく。
背中にいる、昔男だった友に笑いかけ
「おめでとう」と長秀が呟く頃には、綾子は素敵な夢の世界へ飛びたった後だった。
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綾子姉さん誕生日な1日、おわり〜