プロフィール

Author:蓮巳久遠
姫路城下で産声をあげ、
ただいま、たこやきの国に在住。
 
京都と阿蘇が大好き。
アイスが大好き。
千秋が大好き。
稲葉さんが大好き。

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PM11:00

…で、どうなったら私はコイツの背中で寝てるんだろう?

「ハックシュン!」

長秀がギロリと睨みつける。

「起きたんなら歩け」

「起きてないです…」

「まーったく。覚えてねぇって顔だな」

「……」

「お前が酔っぱらったあげく店先で大泣きしだして困った清正が俺を呼んだの」

「………すみません」

そういえば、そんな気がする。
沈黙が生まれる。
長秀の髪から微かに香るシャンプーの香り。
沈黙を破ったのは長秀だった。

「どうせ泣いたのも、アイツのことだろ?誕生日なんかに飲むんじゃねぇよ」

「……うん、ごめん…」

しおらしく謝る綾子に驚いた長秀が、立ち止まる。

「まぁ、こんだけ待ってんだ。……現れるよ」

「そうかな…」

「現れるまで、俺もつきあってやるからよ…」

二人してぽっかり浮かんだ月を見上げる。

そうだね。こんな広い世界だもの。
簡単にみつからないはず。
でもきっと…
きっと出会う時はこんな月夜の晩に…

綾子はいつのまにか、長秀の背中でまた眠りにつく。

背中にいる、昔男だった友に笑いかけ
「おめでとう」と長秀が呟く頃には、綾子は素敵な夢の世界へ飛びたった後だった。

*****
綾子姉さん誕生日な1日、おわり〜

PM10:00

「…っぶは〜」
「いいねぇ!もう一杯!」

何故か綾子は清正に呼び出され、居酒屋にいた。
清正が「祝い酒をおごってやる」なんて言うもんだから。
清正とはなんだかんだで酒飲み友達と化している。
ぐでんぐでんに二人酔っぱらい、最終的に二人で公園の土管に寝ていたこともあった。

「しかし。お前、男は作らないのか?」

真剣な顔に一瞬ドキリとする綾子だったが、笑って話題を変える。

「わったしのぉー!祝い酒が呑めないっていうのぉー」

「呑める、呑めるぞー!」

なんとか話題を回避したものの…心に忘れかけた面影がよみがえる。
ふっきるように綾子はビールをぐびぐびと飲みほした。

PM9:00

なんだかんだと今日はハードだったと
綾子は大きく背伸びした。

母親が大量に作った自慢の料理と、父親が買ってきた三人で食べるには大きすぎるケーキ。
絵に描いたような幸せな家庭の図で綾子は胸に小さな痛みを感じていた。
しかし無償の愛に浸かれるのもこんな日くらいなものだから、と綾子は痛みは無理矢理胸にしまいこみ、両親との夕食は終わった。

綾子は大きく膨らんだ胃を見て、
(明日からダイエットしなきゃ…)
と、腹の肉を摘まむ。

と、その時。
意外な人物から電話が入った。

PM7:00

思わず、うたた寝をしてしまった綾子である。
何か視線を感じてハッとし思わず悲鳴をあげそうになった綾子だ。

「こ、こ、小太郎!!」

小太郎は何も言わず、かわいい袋を差し出す。

「な、なななな何?」

「………三郎殿の妹君からだ」

「あ、あぁ。ありがとう…」

「………」

「な、な、何?まだなんか?」

「…誕生日、おめでとうございまする」

綾子が信じがたいものを見る目付きで小太郎を見るやいなや、小太郎は消えてしまった。

仰木兄弟のおかげかしら?
まさか…あの小太郎から祝ってもらえるなんて…

綾子はそんなことを思った。

PM5:30

やっと買い物から帰宅すると家族は口をぽか〜んと開けていた。

「な、何?何?」

母は頬に手をやり、深いため息をつく。

「この金使いの荒らさは誰に似たのかしら?」

母が案じたのも仕方ない。
手ぶら同然ででていった娘が両腕が真っ青になるくらいの荷物を抱えて帰ってきたからだ。

「金使い荒いんじゃなくて、気前がいいのよ、気前が!」

早く荷物を置いてらっしゃい、お父さんが見たらひっくり帰るわよ?と小言をいいながら母は台所に消えていった。

バタン!ドサン!

やっと大荷物から腕が開放され、綾子はベッドに倒れこむ。

そこへ、ドアがノックされた。扉の前には母親が荷物を持ってたっていた。
「あなた宛てよ。今度こそ彼氏であって欲しいわね」と言葉を付け足す母親にベーッと舌を出す。

小包を開けてみると色部からで、誰の趣味なのか、かわいいぬいぐるみが同封してあった。カードには 「健康第一」と書かれてある。本当に色部が書いたか謎だ。軒猿あたりに頼んだのだろうか?

色部さん…今一つ…つかめない…

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